今、農業法人ってよく聞くんだけど何?
農業法人化のメリット・デメリットって?
農業法人にした方がいいの?
今回は、農業法人について説明していきます
農業の法人化とは
〔法人の種類とメリット・デメリット〕
目次
農業法人とは
農業法人とは、法人の形態によって農業を営む法人の総称
法人形態には以下の2種類があります
会社法人
会社法人は、一般の会社と同様に、「株式会社」「有限会社」(2006年5月1日の会社法施行に伴い根拠法の有限会社法が廃止され、有限会社の設立はできません)「合資会社」「合名会社」の形態があります。
会社法人の種類
株式会社 | 合同会社 | 合資会社 | 合名会社 | ||
資本金 | 1円~ | 任意 | |||
出資者の責任 | 有限責任 | 有無限責任 | 無限責任 | ||
社会的な認知度 | ◎ | △ | 〇 | ||
役員数 | 1名~ | 2名~ | |||
役員の任期 | 最長10年 | 期限なし | |||
設立時にかかるお金 | 約款認証費用 | 約10万 | 不要 | ||
法務局への登記費用 | 15万~ | 6万~ | 6万 | ||
赤字でも支払う均等割 | あり |
農事組合法人
農業生産を協業で行うための法人で、組合員は原則として自ら農業を営み、または農業に従事する個人に限られます。共同利用施設等の設置を行う1号法人と、農業を営む2号法人に分けられます。
☛第1号法人とは
・農業に関わる共同利用施設の設置
・上記の共同利用施設を利用して、組合員の生産する物資の販売
・農作業共同化に関する事業
☛第2号法人とは
・農産物を使用して、加工品等を生産する
・農業生産に必要な資材の製造
・農作業の受託
・林業の経営
農地所有適格法人とは
農地を取得できる農業法人のことを農地所有適格法人と言います
農地法第2条の要件に適合し、農地を取得できる法人です。農地所有適合法人となれるのは、農業経営している法人、持ち株会社、株式会社のみとなります
農地所有適格法人の要件は次の4つです。
○法人形態要件(農業を経営している法人・持株会社・株式会社)
○事業要件(主たる事業が農業)
○議決権要件(農業関係者の議決兼が2分の1超であること)
○役員要件(役員の過半数が農業に従事していること
※農地を取得しようとする場合は、必ず上記の要件を満たす必要があります。
ただし、ただし、野菜工場や水耕栽培といった農地を利用しない農業を営む形態については、農地所有適格法人の要件を満たす必要はありません
農業法人化のメリット
農業経営を法人化した場合、以下のメリットがあります
経営上のメリット
☛経営管理能力の向上
家計と農業経営が分離され、経営管理を徹底させることができる
☛商売上の信用力向上
対外的にもイメージがあがり、信用力が向上します
☛社員の募集が有利
個人事業主にくらべ人材の確保がしやすくなります
☛資金調達が有利
個人事業主にくらべ、資金調達がしやすくなります
☛退職金が支給可能に
個人事業主には退職金がありません。法人化すれば退職金支給が可能となります
☛様々なものが経費に出来る
住居の家賃、車等等を経費として計上できるようになります
制度上のメリット
☛税制面で有利になる
所得が事業主個人と農業法人に分散されることで、税金面で有利になります。「所得にかかる税金が安く済む」「支払う税金が安くなる」「配偶者控除や扶養控除が受けらる」「赤字を繰り越せる期間が長い」
☛社会保険や労働保険が適用できる
社会保険や労働保険に加入できるようになります
☛制度融資が受けられる
融資限度額の増資、農業経営基盤強化資金による融資が可能となる
・貸付限度額:個人3億円(特認6億円)、法人10億円(特認20億円)
・円滑化貸付:最大1億円の無担保・無保証貸付農業法人の設立方法
農業法人化のデメリット
経営上のデメリット
☛開業・設立費用がかかる
会社設立には、会社のハンコを作ったり、法務局への登記等、最低でも25万の設立資金がかかります
☛私用の支出扱い(経費の扱い)が面倒に
法人では経費の扱いがシビアになり、これまで個人事業主で認めれていたものが経費として認められなくなる場合があります
☛経理作業が面倒に
法人化すると、個人事業よりも厳しい経理作業が求められます。複式簿記による経理業務を行う必要があります
制度上のデメリット
☛赤字でも法人住民税を支払わなければならない
法人化すると、会社が赤字の場合でも均等割という法人住民税を支払う必要があります。どんなに赤字でも最低7万円は毎年支払う必要があります
農業は法人化したほうがいいのか
法人化した方が様々な優遇を受けられるので、法人化した方がいいでしょう。しかし、売り上げが1000万に満たない場合は、逆に損する場合があるので注意してください。
また、いきなり法人化するのではなく、まずは個人事業主から始める方がいいでしょう。それは、消費税免税制度です。
個人事業主で事業を開始した2年間は消費税が免除されます。さらに2年後に法人成すればそこからさらに2年間、消費税の納付が免除されます。つまり4年間も消費税の納付が免除されるのです。これはかなりでかいですよね。
- 個人事業者の場合、2年前の売上高が1,000万円以下の場合
- 法人の場合、2事業年度前の売上高が1,000万円以下の場合
- 新規設立法人の場合、設立から2期目まで(ただし資本金1,000万円未満の法人に限る)
※売上高または給与の支払い額が1000万を超えた場合は、原則的に消費税の免除が適用されないので注意してください
農業法人を立ち上げる
農業法人を立ち上げは、下記の流れになります。(詳しい内容は別の記事に書いてます)
☛会社の種類を決める(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社のいづれか)
☛約款を作り公証人の認証を受ける
☛現金・現物で会社に出資する
☛会社の設立登記を申請する
☛税務署に必要書類を届ける
☛社会保険の届出をする
☛労働保険の届出をする